概要
バーコードシステムにおける読取率の低下や誤読の多くは、バーコードの印字品質に起因している。バーコードが滲んで太っていたり擦れて細っていたり、汚れていたり、或いはコントラストが低下していると、読取率が低下して生産性や作業効率が低下するばかりでなく、誤読が発生し大きな損害を被ることもあるので、バーコードの品質管理は非常に重要である。
シンボル体系規格に忠実に作成したフィルムマスタでも、印刷条件が異なればそれぞれ異なった印刷品質グレードのバーコードが印刷される。なぜなら、印刷方式、基材とインクの種類、色、光沢、透明度など様々な印刷条件が絡んでいるからである。また、フィルムマスタを使用したオフセット印刷(網点印刷)は、網点によりエッジが凸凹になり、また、バーコードプリンタのラダー印刷(紙送り方向とバーの方向が垂直)は、バー幅が不均一になるなど、品質の悪いバーコードが印刷されてしまうことがある。
生産管理などのクローズシステムでは、自分で印刷品質の管理ができるが、EDIやPOSのようなオープンシステムでは、ベンダーに品質管理をお願いしなければならない。したがって、ISO/IEC 15416やJIS -X-0520によってバーコードの印刷品質基準が規定されている。バーコードシンボル検証機の適合仕様については、ISO 15426-1及びJIS-X-0521-1で別に規定されている。
バーコード印刷品質管理の重要性
印刷現場では
シンボル体系規格に忠実に作成したつもりでも、印刷条件が異なればそれぞれ異なった印刷品質グレードのバーコードが印刷されてしまう。印刷条件には、印刷方式・基材・インキ・最小分解能・太細比・線/網点密度・色・光沢・透明度・その他多くの項目があり、複合的に絡み合っている。精密なフィルムマスタを用意して網点印刷をしたり、バーコード専用プリンタで90°反転印刷をしたりすると、期待した効果が得られないまま、貧弱なバーコードが印刷されてしまうことがある。このようなバーコードが、システム内または市場に出回る前に、印刷品質の評価を行うべきである。
読取現場では
目で見るとキレイに印刷されているように見えるバーコードでも、リーダが「読み難い」「読まない」「誤読する」などのクレームは、印刷品質グレードが低いバーコードで多発する。言いかえれば、印刷品質グレードの低いバーコードは、トータルシステムコストを高騰させる材料になるばかりでなく、システムの効率を著しく低下させる要因にもなる。
リーダの読取性能が向上し、バーコードの印刷品質が悪くても読むリーダが増えているが、それは常に、誤読への危険性を抱えていることにほかならない。逆に、バーコードの印刷品質が良ければ、リーダへの設備投資も少なくて済み、システム全体の信頼性も増す。読取性能の過当競争をするより、印刷品質グレードを高く維持するように管理する方を薦めたい。また、物流におけるトレーサビリティに関連して発生する訴訟問題やPL法・ISO9000に対応するには、日頃からバーコード印刷品質の管理をしておくことも肝要である。
バーコード印刷品質規格の概略
測定波長の明示
バーコードリーダは、バーコードに照明光(光源)を照射し、その反射光を集めて電気信号に変換し、解読して元のデータを得るが、照射する光源の波長はnm(ナノメータ:10 -9 m)で表す。検証器では、リーダの光源と同じ波長で測定するのがベストである。通常は、620nm(赤色)~ 940nm(赤外線)の範囲を使用する。測定波長を明確にする目的は、波長によって反射率データが大きく異なるためである。特に、カラーバーコードや感熱紙では、光源の波長によっては、リーダの読取り率に大幅な差が生じ、期待した通りの読取り結果が得られないケースが多い。
開口径と細エレメント寸法のマッチング
検証器のセンサは、細エレメント幅(X寸法)に合わせて、表の開口径のものを使用する。開口径とX寸法がミスマッチのまま測定すると、全体のグレード判定が無意味なものになる。特にエッジコントラストやモジュレーションに大きな影響を与える。
X寸法 mm | 開口径 mm | 番号 |
0.102 ≦ X< 0.178 | 0.076 | 03 |
0.178 ≦ X< 0.330 | 0.127 | 05 |
0.330 ≦ X< 0.635 | 0.254 | 05 |
0.635 ≦ X | 0.508 | 20 |
注1) 表の番号は、mil(ミル:1/1000インチ)で表した開口径と同じである。
注2) EAN/UPCでは、6mil(0.1524mm)を推奨しており、0.33mmを100%としたときの倍率80%~200%に対応している。
測定箇所および測定回数
測定箇所はできるだけ広範囲(バー高さの中央部80%)を10回(10等分)に分けて行うことが望ましい。これは、バーコード全体の平均を求める意味もあるが、リーダがどの部分を読むかが不定のためでもある。
スキャングレードの判定
一回のスキャンにおいて、シンボルコントラスト、モジュレーション、デコーダビリティ(デコード容易度)、欠陥、デコード、最小反射率、最小エッジコントラストを測定し、それぞれを0, 1, 2, 3, 4, 5でグレーディング(等級化)する。そして、最低グレードをスキャングレードとし、それを10回繰り返す。
シンボルグレードの総合判定
10個のスキャングレードの数値を平均化し、シンボル総合グレードを判定する。総合グレードは、この平均値になるが、それを下表に従いA,B,C,D,Fに等級付けする。Aは最高グレードであり、どの場所でも1回のスキャンで読める程度、Dが最低グレードであり、複数の箇所を複数回スキャンして読める程度である。また、Fは欠陥(Fail)を表し、通常は使用してはならないバーコードである。
シンボルグレード値 | 総合グレード | シンボルグレード値 |
3.5 ≦ | A | ≦ 4.0 |
2.5 ≦ | B | < 3.5 |
1.5 ≦ | C | < 2.5 |
0.5 ≦ | D | < 1.5 |
F | < 0.5 |
反射率の基準
反射率は、硫酸バリウムまたは酸化マグネシウムの反射率を100%として比較する。(例:実際の検証器では、反射率84%程度の校正用基準ラベルを使用する場合が多い)