自動認識技術・動向
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流通、医療、モバイルのバーコード動向

月刊自動認識寄稿 2011年9月

概要

バーコードが開発されてから40年以上になるが、近年は、2次元シンボルに続いてGS1 Databarなどの新しいシンボルが開発されると共に、ダイレクトマーキングやリライタブルペーパーなどの新たしいメディアが登場し、更に、GS1モバイルやGS1ヘルスケアなどの新しいアプリケーションの標準化が行われている。これは、バーコードが自動認識技術のインフラを成しているからであり、今後もRFIDと共に発展して行くと思われる。次に、近年のバーコードの技術動向について説明する。

新しい役割を担う流通標準バーコード

バーコードは、チェックアウトの合理化のために開発されたが、1984年、セブンイレブンのPOSシステム導入により在庫切れ商品の削減を実現し、近年は、販売分析により商品開発にも利用されている。JANコードは、商品識別シンボルとして活用されているが、これからの流通サービスの高度化には不十分である。そこで、GS1は、新しい流通標準シンボルGS1 Databar(旧称RSS、2007年2月に改称)を1996年に開発し、2006年にISO/IEC24724に登録された。そして、2011年にJIS化される予定である。このシンボルは、青果品や化商品などの商品識別コード(GTIN)の表示にも使用されるが、それ以上に有効期限管理、ロット管理、重量表示などの利用に期待が高まっている。GS1 Databar Expandedは、GS1-128のようにアプリケーション識別子が使用でき、複数のデータを連結できるので、これらの用途に最適である。

一般消費財へのGS1 Databarの利用は、2010年に世界同時スタートする予定であったが、読取環境が整ってなかったことから2014年までに各国で任意にスタートすることになった。そして、各国では、ニーズに合わせて実証実験を行い、米国では一部スタートしている。日本では、販売時点で賞味期限をチェックすることや、賞味期限情報を値引きに利用することが検討されている。米国では、青果物を山売りするためにGTINをGS1 Databar Stacked Omni-directionalで表示している。また、有効期限などのサービス内容を知るためにGS1 Databar Expandedをクーポン券に表示している。欧州では、精肉などの不定貫商品にGS1 Databar ExpandedでGTIN、重量、価格、販売期限などの情報を表示している。

GS1 Databar 食肉 GS1 Databar 果実

医療業界で普及するGS1-128とGS1 Databar合成シンボル

日本では、医療事故防止、トレーサビリティの確保、物流コストの削減、医療事務の効率化等のために、早くからバーコードの標準化が行われている。医療材料業界では、1999年に「UCC/EAN-128標準表示カイトライン」が作成された。医薬品業界では、2006年に「医療用医薬品新コード表示ガイドライン」が作成され、その後「RSS合成シンボル・GS1-128バーコード運用ガイド」が作成された。ここでは、調剤包装と販売包装では、GS1 Databar LimitedまたはGS1 Databar Stackedを使用し、元梱包では、GS1-128を使用することになった。また、有効期限とロット管理が義務化されている生物由来製品は、GS1 Databar複合シンボル(Composite)で表示することになった。

GS1 Databar複合シンボルは、GTINを表示したGS1 Databar LimitedまたはGS1 Databar Stackedと、有効期限とロット番号を表示したMicro PDF417を複合したシンボルである。Micro PDF417は、多段型のシンボルであるため、2次元イメージャばかりでなく、ラスター式のレーザスキャナでも読み取ることができる。

医薬品のロット表示をリアルタイムに行うためには、レーザマーキングが有効になることから、予め塗布されたインク表面にレーザマーキングすることを想定して、反転シンボルも使用できるように規定したが、その後、未対応のリーダが多かったことから、反転シンボルは使用禁止になった。その代わりに、左右の余白を白抜きにすることにより、レーザマーキングに対応することにした。また、当初は、調剤単位は、生物由来品と注射薬のみであったが、現在は、内用薬や外用薬を含むすべての医薬品に適用されている。

GS1 Databar 薬品

GS1 Databar Limitedは、2011年に改訂されたISO/IEC24724で仕様が一部改訂された。従来の規格では、シンボルに右端(ライトガード)は1モジュールのスペースと1モジュールのバーのみであったが、改訂後は、1モジュールのスペースと1モジュールのバーにつづいて、5モジュールのスペースが必要になった。これは、UPCのあるシンボルパターンと区別するために改訂されたものである。

GS1 Databar Limited 構造

手術器具用バーコードの標準化

医療材料、医療用医薬品のバーコードの標準化に続いて、2006年に日本医用機器工業会が、メスやハサミなど「鋼製用具への二次元シンボル表示ガイド」を作成し、2011年GS1ヘルスケアジャパン協議会が、「鋼製器具マーキング運用ガイド」を作成した。ここでは、発注業務の効率化、熟練者に依存しないセット組の効率化、使用有無の管理、器具の使用履歴管理等を目指している。また、表示方法は、長期間に亘って使用し、不純物による汚染を阻止しなければならいことから、レーザマーキングまたはドットピンマーキングを前提にしている。

データは、アプリケーション識別子“01”、製品番号GTIN 14桁とアプリケーション識別子“21”、シリアル番号(8桁)の合計26桁を表示する。また、シンボルは、世界との整合性と実績からGS1 Data Matrixを推奨している。(日本医療機器工業会は、Data MatrixとQR Codeを採用)

GS1 Data Matrixは、ISO/IEC16022で規定されたシンボルをベースにGS1としてのデータ構造を定義したもので、GS1-128と同じようにFNC1でスタートし、次にアプリケーション識別子、次にそのデータを記述することになっている。また、データの連結も可能である。

上記の26桁のデータを格納するためには、数字のみの場合18×18セルが必要となり、ロット番号に英字を使用する場合は、20×20セルが必要となる。レーザマーキングでセルサイズを0.10mmとした場合、シンボルサイズは約2mmとなる。また、ドットピンマーキングでセルサイズを0.17mmにした場合、シンボルサイズは約3mmとなる。

医療機関が独自に院内マーキングする場合は、当面、アプリケーション識別子“91”から “99”を使用するが、将来は、医療機関がJANコードを取得し、“8004”の資産管理識別子を使用することを推奨している。

DPM ピンセット

ガラパゴス化した日本の医療用リストバンド

日本の多くの医療現場で使用されているリストバンドは、柔らかさと印字耐久性を追求した結果、熱転写型プリンタにより印刷されたウレタン系の製品が多い。しかし、その反面、インクリボンに個人情報が残り、情報漏洩の危険性を防止するためには使用済インクリボンを安全に処分する必要である。

米国では1993年にHIPAA(Health Insurance Portability and Accountability Act)「医療保険の相互運用性および説明責任に関する法律」のセキュリティ規制により、個人情報管理が厳しくなったことから熱転写プリンタは使用されなくなった。そして、レーザプリンタまたはサーマルプリンタで印字可能なリストバンドが主流になった。欧州では、まだ規制はないが、患者が熱転写プリンタを使用している病院を敬遠するために、自然に熱転写式は減少した。

日本においては、まだ、医業個人情報についてそれほど問題になっていないが、現在、プライバシーマークを取得している病院が約50ヵ所、医療機関が約100ヵ所あることから、日本でも欧米のように個人情報管理を徹底するようになると思われる。

レーザ式やサーマル式は、紙をベースにしなければならないので、如何に耐久性を担保するかが課題である。そこで、原始的ではあるが確実な方法は、印字面をラミネートで完全に保護することである。これにより、水、石鹸、アルコール等で何度も洗浄しても印字品質に変化がなく、数ヶ月におよぶ長期間の入院でも、リストバンドを交換することなく使用することができる。

欧米では、ネームタグをカルテやチャート等に貼ることが多いので、リストバンド印刷の際にネームタグも同時に印刷できるようになっている。

LaserBand フォーム LaserBand

グローバル標準が検討されるモバイルバーコード

GS1モバイル・コムは、2007年からGS1のソリューションの一つとして携帯電話をB2CやB2Bに活用するための標準化を行っている。我国では、2000年頃からQR Codeを読み取りWebページにリンクするサービス、QR Codeのクーポンを配信し割引するサービス、配信されたQR Codeを表示しチェックインするサービスなどがありますが、これらをグローバルに標準化しようとするものである。

GS1モバイル・コムは、早期の標準化を目指し、当面、UPC/EAN、DataMatrix、QR Codeのバーコードを使用するが、将来は、GS1 Databar、EPC(RFID)、NFC(Near Field Communication)まで拡大する予定である。現在、次のアプリケーションが検討されている。

・エクステンデッド パッケージ :商品バーコードからWebページにリンク

・デジタルコマース :音楽、ビデオ、ゲーム等の注文と配信

・モバイルクーポン :外食チェーン等で使用される値引きクーポンなど

・個人認証     :携帯電話のSIM、内蔵のICタグ等を使用して取引相手を認証

・ショッピングリスト:商品バーコードを読取り携帯に登録、そのリストから発注

・セルフスキャン  :自分でバーコードを読取りチェックアウト、市場調査データ入力

・ストアロケーション:商品の場所を店舗内地図に表示、目的までナビゲーション

 

欧米では、エクステンデッド パッケージの実証実験が先行して行われている。日本では、URLをQR Codeで表示しサイトにダイレクトリンクさせているが、実証実験では、UPC/EANのバーコードからURLを参照し、それからリンクするインダイレクト方式を採用している。

この標準化に伴い、欧米ではモバイルバーコードに対応したバーコードリーダが開発されている。日本では、携帯電話専用のリーダになっているが、欧米では従来の手持型や卓上型の2次元イメージャで携帯電話に表示されたモバイルバーコードを遠隔で読み取ることができる。商品バーコード読取と兼用できるので、省スペース、かつ、投資金額を抑制できる。

 

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