概要
MaxiCodeは、1987年(昭和62年)、米国最大の宅配業者であるUPS社が、小荷物の管理と仕分け追跡のために開発したマトリックス型2次元シンボルである。殆どのバーコードや2次元シンボルシンボルは、リーダメーカ、プリンタメーカ、コンピュータメーカ等のメーカサイドによって開発されて来たが、このMaxiCodeは、ユーザが自社のために自ら開発した珍しいシンボルである。
MaxiCodeの目的は、貨物の仕分や追跡のための高速読取であるために、それを実現するための徹底的な工夫がなされている。まず、取得した画像データからMaxiCodeを素早く切り出すために、シンボルの真中に3重の同心円のファインダーパターンを配置している。ファインダーパターンがシンボルの中心にあることにより、物流における汚れ等の障害を最小限に抑えると共に、ファインダーパターンが3個あるQR Codeにデータ領域が広くなっている。シンボルの傾きを検知するために、3モジュールの方向決めパターンが6箇所に配置されている。
更に、他の2次元シンボルは、データ量によってシンボルサイズが変化するが、MaxiCodeでは、あえてシンボルのサイズを33段×30モジュールに固定化することによってデコード時間を短縮させている。また、物流では、大きなデータを扱うことがないことから、最大データ量を抑えることにより、更にデコード時間を短縮させている。
MaxiCodeは、国際標準輸送ラベルISO15394、AIAG(米国自動車工業会)、全日本トラック協会では、仕分用シンボルとして採用されている。
特長
- 従来のマトリックスコードは、正方形のセルであるのに対し、MaxiCodeは6角形のセル(MaxiCodeではモジュールと言う)を使用しています。そして、縦3個と横2個の計6個のモジュールで一つのコードワードを構成しています。また、シンボルの傾きを検知するために、3モジュールの方向決めパターンが6箇所に配置されています。
- データとエラー訂正コードの領域は、884モジュールで、これは、144コードワードに相当します。最初の120モジュール(20コードワード)は、1次メッセージとい言い、ここには、荷物ID番号や荷主コード、行先コード、サービス区分等の基本データがエンコードされます。その後の744モジュール(124コードワード)は、2次メッセージと言い、注文番号や納品番号等のお客情報をエンコードします。
- 情報は、数字モードとASCII値(0~127)モード、拡張ASCII値(128~255)モードの3種でコード化できます。1文字は、1または2コードワードで表し、連続する数字は、9桁が6コードワードに圧縮されます。したがって、最大の情報量は、英数字で93字、数字で138桁となります。
- 誤り訂正は、リードソロモンを採用し、誤り訂正率50%の拡張エラー訂正(ECC)と誤り訂正率25%の標準エラー訂正(SEC)の2種類が用意されています。1次メッセージは、常に拡張エラー訂正(50%)を使用し、2次メッセージは、拡張エラー訂正と標準エラー訂正のいずれかを選択できるようになっています。拡張エラー訂正を使用した場合の最大情報量は、77コードワード(英数字)、標準エラー訂正を使用して場合の最大情報量は、93コードワード(英数字)です。
モード
シンボル内のデータおよびエラー訂正の構造を定義するために、0~6のモードが用意されています。
- モード0は、現在使用されていません。代わりにモード2とモード3が使用されます。
- モード1は、現在使用されていません。代わりにモード4が使用されます。
- モード2と3は、構造化キャリアメッセージに使用されます。これは、運輸業界向けに設計されており、送り先の住所と運輸業者によって定義されるサービスのクラスをコード化します。最初の120ビットは、拡張エラー訂正(EEC)を付加した構造化キャリアメッセージに使用され、シンボルの残りの部分は、標準エラー訂正(SEC)を使用して他の用途に自由に使用できます。
一次メッセージは、3桁(10ビット)のサービスクラス、3桁(10ビット)のISO国コード、そして、,36ビットが郵便番号に使用されます。モード2の場合の郵便番号は、最初の6ビットが郵便番号桁数をコード化し、残りの30ビットが郵便番号をコード化します。モード3の場合は、印刷可能なコードセットAのサブセットから最大6個のキャラクタをコード化します。ただし、郵便番号が数値の場合は、モード2を使用し、英数字の場合は、モード3を使用します。 - モード4は、標準シンボルに使用されます。一次メッセージに拡張エラー訂正(EEC)を使用し、二次メッセージに標準エラー訂正(SEC)を使用します。このモードでは、93コードワードが使用できます。
- モード5は、一次と二次の両方に拡張エラー訂正(EEC)を使用します。このモードでは、73コードワードが使用できます。
- モード6は、リーダをプログラムするために使用されます。二次メッセージには、標準エラー訂正(SEC)が使用されます。また、このモードでは、読んだデータは、送信されません。
寸法
- モジュールサイズは、1.02±0.12mm(X)×0.88mm±0.12mm(V)です。
- クワイエットゾーンを含むシンボル全体の基準サイズは、横が28.16mm、高が26.86mmです。そして、26.48×25.32mmから29.79×28.49mmの範囲になければなりません。
- クワイエットゾーンは、左右が0.88mm以上、上下が0.76mm以上必要です。