レーザプリンタでカラーリストバンドを印刷し、モバイルターミナルでバーコードまたはRFタグを読み取り、患者認証をします。
医療現場では、投薬ミスや患者取り違いミス等による医療事故が時々発生しています。これらの 医療事故を無くすためには、看護士の注意を喚起するばかりでなく、バーコードやRFIDを使用して患者、看護師、医薬品を機械的に照合する三点認証システムが必要です。
薬害エイズに端を発し、生物由来の医薬品や医療機器は、使用履歴の管理が義務化されています。これを正確かつ迅速に行うためには、バーコードによる投薬履歴管理システムや販売履歴管理システムが必要です。
アイニックスは、個人情報保護が可能な医療用リストバンド、小型で操作性に優れて看護端末、クラウドを実現するモバイルミドルウェア、そして、三点認証システム、投薬管理システムなど、医療現場が求めるへルスケアソリューションを提供します。
バーコードの印刷品質を保つために
医療用リストバンドは、元々、本人確認のためのネームバンドであったが、現在は、機械的認証のためにバーコードや2次元シンボルが印刷されている。これに伴い印刷が薄くなる、或いは、消滅するためにバーコード読取ができないという新たな問題が発生した。バーコードの印刷品質が、布団との摩耗や消毒、或いは、入浴等により悪化するためである。
まったく読めない場合は目視で確認できるが、バーコード品質の低下は誤読をもたらすので、極めて危険な現象である。したがって、日本では如何に消えないバーコードを印刷するかの研究が行われてきた。その結果、樹脂系のリストバンドにレジン系のリボンを使用して、高温で熱転写印刷することが一般的となった。この場合でも、素材とリボンとプリンタ転写温度がマッチしないと印刷品質の劣化が早くなるため、使用期間を2週間に限定している病院もある。摩耗と水については優れた耐久性を持つが、アルコール消毒に耐えるようにすることは、かなり難しい課題である。
個人情報保護と印刷品質問題を同時に解決
米国でも当初は熱転写式プリンタを使用していたが、1993年にHIPAA(Health Insurance Portability and Accountability Act)「医療保険の相互運用性および説明責任に関する法律」のセキュリティ規制により、個人情報管理が厳しくなったことから熱転写プリンタは使用されなくなった。熱転写リボンに残った個人情報の漏洩が懸念されたためである。
そこで、レーザプリンタまたは感熱プリンタで作成したリストバンドをラミネート加工するという方法に急速に変化した。ラミネートで保護することにより、摩擦、消毒、入浴による印刷品質劣化のリスクから完全に解放され、3ヵ月程度の入院であればリストバンドを取り換える必要がなくなり、交換の手間とランニングコストが減少した。
レーザバンドは、セフルラミネート方式を使用している。これは、印刷した後、リストバンドを台紙から剥がし、台紙に付いているラミネートフィルムで印刷面を挟むのである。ネームラベルをラミネートフィルムで挟むだけなので簡単に作成できる。また、レーザプリンタで印刷できることにより専用プリンタの設備投資が不要になり、更に、リストバンドのカラー化も容易になった。
耐久性と故意の取り外し対策
医療リストバンドは、数ヶ月に亘って使用することから耐久性が求められる。と言っても、ここで言う耐久性とは、故意の引っ張りや故意の取り外しなどで、普通に使用している場合の耐久性ではない。患者は、リストバンドにイタズラすることがあり、それでも耐えることが求められる。特に、認知症の場合は、強い力で引っ張ることがあるので、かなりの耐久性が必要となる。ラミネート保護されたリストバンドは、50kg程度の張力に耐えることができる。
また、リストバンドを外すイタズラも時々発生する。リストバンドを取り外し、看護師を困らせてやろうというイタズラである。日本では、取り外しできない構造のスナップを使用しているが、強く引っ張ればリストバンドがスナップで切れてしまう。レーザバンドは、スナップの代わりに粘着剤で貼り付け、無理に剥がそうとするとギザギザに破れるようになっている。
誤飲の心配があるスナップ
欧米でもスナップを使用する場合があるが、スナップの誤飲が問題になったことがある。認知症の患者が、スナップを飲み込んでしまったため、内視鏡で取り除いたという例である。スナップが喉に詰まれば大きな事故に繋ったかも知れないので、誤飲を防止する工夫は重要である。
スナップを使用しないリストバンドは、スナップがゴリゴリと腕に当たらないので、装着感も良い。また、スナップは、凸凹や隙間に雑菌が繁殖しやすいので、長期使用には適していない。
延長バンドと様々なサイズ
医療用リストバンドは、骨折等で腕に装着できない場合は、足首に装着することがある。また、肥満の人の腕は、足首位の太さの場合があり、リストバンドの長さは様々である。
日本では、長いリストバンドを手首や足首の太さに合わせて切って使用するようにしているが、欧米では、粘着剤付の延長バンドを使用している。大人用の延長バンドは、約5cmの延長が可能である。したがって、リストバンドの装着に、ハサミを用意する必要がない。
また、腕の小さな子供用や乳児用のリストバンドも用意されている。乳児用は、ネームラベル面が子供用や大人用より小さくなっている。
快適な装着感
リストバンドは、医療の安全のために様々な工夫がなされているが、同時に患者にとっての装着感も重要な要素である。日本で主流のウレタン系リストバンドは、しなやかさから装着時の評判が良いが、長期に装着していると、まるで腕時計をしているような重量感を感じるようになる。
これに対しフィルム系のリストバンドは、素材の硬さから装着時に違和感を唱える人がいるが、長期に装着していると付けていることを忘れるくらい快適になる。指2本くらい入る程度に緩く装着することがコツである。当社では、フィルムの硬さを最小化するために、海外仕様より30%薄い36ミクロンのポリエステルフィルムを使用している。
IDラベルによる業務フローの改善
医療現場では、患者本人の認証の他に、カルテ、心電図、所持品などの認証も必要である。カルテと心電図にIDラベルを貼ることによりこれらを一体で管理でき、患者の所持品に貼ることにより取り違いや紛失を防止することができる。従来、IDラベルを別に印刷していたとすれば、リストバンドと同時に印刷できるメリットは大きい。
レーザプリンタで印刷できるLaserBandは、20枚のIDラベルが付いているA4シートと、1枚のIDラベルが付いている1/2レターサイズがある。リストバンドを装着した後、残ったIDラベルは、入院中に何度も使用できるように患者ファイルに綴じられるようになっている。
IDラベルは、アレルギー、FALL RISK(転倒リスク)、DNR(蘇生措置拒否)などの警告シールとしても使用できる。
RFIDリストバンド
LaserBandは、単純なリストバンドとしての使用だけではなく、様々に活用できる。例えば、RFタグをラミネート時に挟み込むことによって、バーコード+RFIDの複合管理が可能になる。
RFタグは、NFC対応のMidasを使用する。これは、チップにISO/IEC 14443 type A規格のNXP NTAG203を使用しており、ユーザエリアが144バイトある。したがって、目視文字表示している内容をすべて書き込むことができる。また、インレイサイズは、12mm×19mmと極めて小さいので、リストバンドの表示エイリアに自由に配置できる。更に、NFCは、スマートフォンやタブレットで書き込みや読み取りができるので、これらを使用することもできる。
顔写真リストバンド
LaserBandは、カラーレーザプリンタを使用すれば、顔写真をクリアに印刷することができる。本人確認は、バーコードやRFIDで行うのが理想的であるが、何時もそれを行うことは難しい。そこで、顔写真を印刷しておくことによって、名前確認より高い本人認証が可能になる。
手書リストバンド
LaserBandの印字面は紙になっているので、マジックやボールペンで手書きすることができる。常にリストバンドの発行環境を用意しておくことは不可能であるので、手書きと言う逃げ道があることは、多様な医療現場にとって有益である。
皮膚の弱い人のためのリストバンド
医 療用リストバンドは、大人用、子供用、乳児用などサイズばかりでなく、皮膚の弱い乳児や老人などの対策も必要である。保護バンドComfyCuffは、柔 らかいスポンジで出来ており、これを装着した上にリストンドを装着する。ComfyCuffは、入浴時に取り外しできるようマジックテープで固定するよ うになっている。
救急用リストバンド
救急時や緊急時は、プリンタでリストバンドを発行する時間がないので、予めID番号とバーコードが印刷されたリストバンドが必要である。StatBandは、連続番号のIDとバーコードが印刷されているので、このID番号と患者名を紐づけて患者を認証する。
リストバンドは、同じ番号のIDラベルが5枚付いている。これらは、患者のカルテや所持品に貼り、一括管理できるよにしている。
災害用リストバンド
災害や事故では、患者の症状に合わせた治療が必要になるので、トリアージのためのタグが付いている。トリアージカラーは、国際基準にしたがった色が印刷されているので、不要なタグをもぎり取って使用する。付属のIDラベルは、カルテ、チャート、所持品等に貼付し、一括管理ができる。
バーコードリーダ
医療用のポケットスキャナは、静かな病室や夜間のオペレーションのために、ブザーの音量を小さく設定します。或いは、ブザーの代わりにバイブレータを使用します。
日本では、抗菌仕様が好まれますが、抗菌効果は完全ではなく、また、経年劣化もありますので、海外では、次亜塩素酸水やアルコール消毒により変色や劣化が生じないことが重要視されます。抗菌仕様であっても完全ではありませんので、定期的な洗浄は不可欠です。
汎用モデルのA770は、画素数が752×480ですのでリーズナブルな価格です。高性能モデルのDS4308は、画素数が1280×800の高解像度ですので、小さな2次元シンボルから大きなバーコードまで素早く読取します。高解像度モデルのDS8108は、画素数が1280×960とトップクラスで、レーザスキャナ相当の読取距離と究極の読取性能を提供します。
A770/A770BT(コードレス) |
DS4308 |
DS8108/DS8178(コードレス) |
ポケットスキャナ
医療用のポケットスキャナは、静かな病室や夜間のオペレーションのために、ブザーの音量を小さく設定します。或いは、ブザーの代わりにバイブレータを使用します。
日本では、抗菌仕様が好まれますが、抗菌効果は完全ではなく、また、経年劣化もありますので、海外では、次亜塩素酸水やアルコール消毒により変色や劣化が生じないことが重要視されます。抗菌仕様であっても完全ではありませんので、定期的な洗浄は不可欠です。
病院は、長時間勤務になる場合が多いので、バッテリ容量の大きいものが適しています。ポケットスキャナは、一般的にバッテリー交換ができませんので、バッテリ容量は重要な要素です。
医療用のポケットスキャナとしては、サイズと価格を重視したMT1197MW、及び、バッテリが大きなMT1227LとCS4070を推奨します。
MT1197MW |
MT1227L |
CS4070 |
RFIDポケットリーダ
RFIDリストバンドは、フレキシブルな読取ができますので、リストバンドにより患者認証では、患者や看護師の負担を減らすことができます。RFIDポケットリーダは、スマホやタブレットにBluetoothで接続して運用します。
UHF帯のRFタグは、読取距離が稼げますが、リストバンド用にタグを小さくして腕に装着した場合、高出力のRFIDリーダでも数十センチの読取距離になります。HF帯のRFタグを装着したリストバンドの読取距離は、数センチです。
HF帯のRFIDリーダとしては、大きなバッテリを搭載したMR10A7を推奨します。UHF帯RFIDリーダとしては、ポケットサイズのSE1-BUB-CとハンドヘルドタイプのRFD8500を推奨します。SE1-BUB-Cの出力は10mW、RFD8500の出力は1Wです。
MR10A7 |
SE1-BUB-C |
RFD8500 |
RFIDハンディターミナル
UHF帯のRFIDハンディターミナルは、出力を大きくできますので、長距離読取や一括読取が可能です。
RFIDリーダ一体型のBHT615などと、スマホに装着するジャケット型のRFID AsReaderなどが有ります。